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当院へ転院をお考えの方

院長朝倉です。この度は、当院へ「転院」をご検討いただき、ありがとうございます。大きな代償を払いながらも、何らかの理由で通院先の変更を検討されるお気持ちを察し申し上げます。まず下記をご了解お願いいたします。

  • 現在の医師より当院を勧められている場合には、これまでの治療経過について、簡単でも紹介状をいただければ幸いです。それが難しい場合は、これまでの経過を受診前にご自身でまとめてご受診されることをお勧めします。

  • 現在の治療が完了していない場合でもご受診いただけますが、他院での治療が一段落するまでは、当方での治療は控えさせていただくのが原則です。当院には、他院には無い「魔法の検査・お薬・治療」はございません。

  • 最初の面談では、お体のことだけでなく、生活やお仕事の内容についても普通よりも詳しくお伺いします。それは、ご夫婦がどのような生活をされて、どんな通院や治療が適しているのかを総合的に考える上で必要だからです。

  • いずれの場合でも、これまでの検査結果(例えば基礎体温表、血液検査・男性検査等)、および人工授精や体外受精の経過と経過をご提供いただければ、より正確に患者様の状態と問題点が判断でき、迅速に治療が進みます。

  • 不妊症検査については、正しく行われ結果が明らかな場合には、再検査を保留させていただくことが殆どです。但し、結果が不明や問題がある場合には、再度の実施を提案する場合があります。なお安全な医療を行う上で、感染症の検査を当院で定期的にお受けいただくよう、お願いしております。

  • 最初のご受診では、面談だけでも構いません。当院への受診に自信を持てれば奥様の診察で、より詳しく検査と治療の計画を提案させていだきます。

日本全国には約600件の体外受精を行う不妊症治療施設があります。NPO法人Fineの会の調査(2012年、末尾にURLあり)によると、不妊症治療に通院される患者様の約6割が1-2回の転院を経験されています。

転院を決断された理由は「妊娠しなかったから」は約半分程度で、その他治療と関係しない様々な理由があるようです。但し、転院された多くの方が転院に満足されていました。

転院は大きな決断と治療の変更を伴う作業です。転院を希望される方々は、お話を伺うとそれまでに適切な治療を受けておられる場合が殆どです。しかし違う専門家の意見を聞いて、自身の体と人生を考え直す機会となることも真実であり、やはり転院しないでおく決断に至るのも別の真実です。

人生にはひとつだけではない「複数の正解」があると思います。不妊症治療・生殖医療のプロフェッショナルとして、ご縁あって来院される悩みをすこしでも共有し、どんな治療を選ばれるかのお手伝いをさせていただければ幸いです。

最後にアンケート調査の総括部分をFineの会の了承を得て紹介します。

「納得のいく治療」を大切に

「不妊患者が病院に求めるものは何か?」 私たちは体験上、妊娠する・しないにかかわらず、「納得のいく治療を受けられたかどうか」が大切であると感じています。 妊娠・出産は人生における大きな分岐点です。その為に費用や時間、気持ちをつぎ込んでも「出産できない場合」がある。それでも「治療したことを後悔しない、納得できる」と言えるかかどうか?それはカップルのその後の人生に大きな影響を及ぼします。事実、妊娠・出産の有無にかかわらず、治療をきっかけとして、残念ながら離婚してしまうカップルも少なくありません。

情報の整理と選択眼か不可欠

このアンケートから見えたもののひとつに、情報整理の必要性があります。現代社会において「インターネットの情報」は、もっとも手軽でスピーディーな分、便利だといえるでしょう。しかしその分、受け手の取捨選択か困難になってきています。実際、アンケートのコメントに「たくさんある情報や掲示板、個人のブログに翻弄されないようにするのが難しいと思う」「「みんな正しい情報とメンタルケアを求めていると思います」「病院選びは難しい。ネットの口コミも当てにならない」などの戸惑いの声も多くみられました。

価値観の再確認と情報共有か必要

情報の選択は言うまでもなく自己責任となるわけですが、アンケートからは、患者自身が「何を大切にしたいか=価値観」をよく理解していなかったために転院を繰り返したケースも見受けられました。「転院の際、病院選びの重視する点が変わった」と回答した人のコメントでは「初めは評判を重視したが、転院していくうちに医師やスタッフを信頼でき、自分が納得し安心して治療が受けられるところがいいと思うようになった」「通院しやすいかどうかではなく、治療方針が自分に合っているかが大事とわかった」などがありました。これらは意思決定のための、事前の情報共有の重要性を示しているのではないでしょうか。 患者も医療者も治療に対して真剣であり、それぞれ日々努力を重ねています。その努力がうまくかみ合うかどうかが 「納得のいく治療」のカギであると考えます。
「患者か転院する理由は?」560 名の声を集めました

『NPO法人Fineの会調査(2012年)「患者が転院する理由は?」560 名の声を集めました』へはこちら

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