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体外受精・顕微授精について

生殖補助治療(ART)の概要

2024年6月に診療報酬制度が改定されました。不妊治療の費用については、こちらをご参照ください。

当院での生殖補助治療の3つの特徴

個別性

治療の方法は、検査結果だけでなく、ご夫婦の生命や治療への価値観や社会的な状況を考慮して、外来担当医師、不妊症介護専門看護師、胚培養士がチームとなり、お二人にとって最良の治療をご提案いたします。

先進性

国内、海外の生殖医療の進歩発展を常に検討し、自信をもって実施できる方法を選んで積極的に取り入れ、最先端の治療を提供しております。また、その結果を国内外の学会において発表し、質の高い情報発信を行っております。

胚培養士の学会発表業績はこちらからご覧いただけます。

安全性

培養室での受精卵の状態については、毎日院長へ報告、検討を行い、毎週すべての治療中の症例について医院全体で情報を確認、共有する会議を実施しております。また、学会および自治体の要請に基づく医療安全を最重要項目として実施しております。

体外受精の方法

患者様各々に適した卵巣刺激法により卵巣内で卵子を複数個を育て、体外へ取り出し、調整した精子により受精させます。数日間培養器内で発育させた受精卵を1-2個、子宮内に移植します。
受精方法については、医師、胚培養士から患者様に有益な受精方法について充分に説明させて頂きます。
そして、患者様に受精方法を選択して頂けます

新鮮胚による治療 : 卵子と精子を身体の外で受精させ、子宮に移植します。

採卵

当院では静脈麻酔を行って、膣内から細い針による痛みの無い採卵を行います。通常、午前中に帰宅が可能です。

媒精・培養

体外に取り出した卵子は、調整精子をふりかける方法(通常媒精)か、顕微鏡下に卵子内に精子を注入する方法(顕微授精)にて受精させ、その後2〜5日間、培養器内で発育させます。その間、受精卵の発育(分割)をタイムラプスインキュベーターで経時的に観察を行い、分割の状況、スピードなどを詳細に観察します。

胚移植

培養した受精卵は、適切な評価(形態的評価・動態的評価)を行い、良好な受精卵を子宮に移植します。移植する受精卵には補助孵化法という、受精卵が孵化しやすくなるような出口を作ってあげることも可能です。移植に用いなかった受精卵は、凍結保存を行います。

 

凍結胚による治療 : 別の周期で子宮内膜だけを育て、適切な時期に受精卵を移植します。

凍結胚による治療 : 別の周期で子宮内膜だけを育て、適切な時期に受精卵を移植します。
自然妊娠では、受精卵は胚盤胞に発育しながら卵管内を約1週間かけて子宮まで運ばれます。
以前の新鮮胚による治療により、液体窒素下で凍結保存されていた受精初期胚(受精後2〜3日目)または胚盤胞(受精後5〜6日目)を融解して子宮内に移植します。

受精卵は瞬間的に凍結し、融解後も生存の可能性が極めて高い「急速ガラス化法」により胚の凍結を行います。

治療の成績

これまでART(生殖補助技術)による治療成績は、「胚移植あたりの妊娠率」が広く用いられてきました。移植する受精卵の個数が多いほど発生しやすい多胎妊娠を抑制する目的から、2008年より移植する胚の数は原則1個にすることが求められています。

よって近年、ARTでは少数個の受精卵を何回も移植する方式が主流となり、治療成績は移植あたりの妊娠率だけでなく、1回の採卵でできる受精卵を数回移植した結果(採卵当りの妊娠率)によっても評価する必要があります。

同時に、治療の安全性は多胎妊娠がどの程度生じるのかについて注意を払うことができます。

保険診療制度での体外受精・顕微授精の治療成績

 

ART治療を評価する主な指標

2016-2020年 年齢ごとの治療周期数

 

2016-2020年 ART治療成績
新鮮胚移植周期

2020年までは、30歳代までの方には、新鮮胚移植をお勧めしていました。現在は、採卵後は全胚凍結(なるべく胚盤胞の状態で)をお勧めする方針となりました。しかしながら、場合によっては新鮮胚移植を行う場合もあります。

 
凍結胚移植周期

2020年より、胚移植は原則、凍結胚(主に胚盤胞)を融解して行う方針となりました。

1) 期胚移植と胚盤胞の融解胚移植の成績

 

2020年までは、40歳頃までの方には新鮮胚移植を行っていました。凍結胚移植は、2回目以上の移植の場合が多かったので、2個かそれ以上の移植の割合が高めでした。採卵にて全胚凍結とする方針としてからは、1回目の凍結胚移植は、通常は1個移植をお勧めしています。3個かそれ以上を移植することは、極端な症例を除き、ほとんどありません。

 

2) 融解した胚盤胞の移植による成績



 

当院においては、凍結胚移植は、良好な胚盤胞を優先して移植します。必要であれば、受精2−3日目で凍結した初期胚の移植を行います。30歳代であれば、良好な胚盤胞移植(通常は1個移植)により、約5割の移植にて妊娠(子宮内に胎嚢あり)が判明します。

初期胚の移植でも、良好な妊娠率が得られています。40歳以上となると、胚盤胞と初期胚の移植による妊娠率の差は小さくなります。高年齢の女性で、採卵により胚盤胞が得られなくとも、初期胚が得られればご安心ください。

 

多胎妊娠率(新鮮および凍結胚移植の合計)

 

1回に1個〜数個の受精卵を移植して、
同時に複数の妊娠が生じる割合。

1つなら単胎妊娠、2つなら双胎妊娠、
3つなら品胎妊娠と呼ばれる。

全胚凍結と、できるだけ凍結胚盤胞1個の移植を行う事で、双胎妊娠率は減少してきました。品対(三つ子)の発生は、無くなりました。

採卵あたりの妊娠率

1回の採卵で可能だった新鮮胚移植による妊娠と凍結胚移植(1回か複数回の移植)による妊娠の合計数を採卵数で割った割合割合

35歳頃までの場合には、1回の採卵で得られた受精卵で過半数の女性が妊娠に至りました。

2020年より、採卵して全胚凍結をして、その後に融解した胚盤胞移植をする方針となりました。よって、1回の採卵あたりの妊娠達成率は向上している可能性があります。症例がもう少し集まれば、結果を後日お知らせします。

採卵後、全胚凍結による採卵あたりの妊娠率(1回か複数回の移植による)

(現在、準備中。しばらくお時間をいただきます)

43歳以上の妊娠率・出産率

年々、年齢の高い患者様の妊娠率が向上しています。

 

治療の費用

保険診療

保険診療としての不妊治療の費用については、特別ページをご参照ください。

 

自費診療

保険診療以外での体外受精・顕微授精による治療については、特別治療プログラムを用意しております。ご受診の上、お尋ねください。

(文責:生殖医療専門医 朝倉寛之)

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